南部編コラム24話 南部藩から見る盛岡名産品

  • 2013.07.28 Sunday
  • 16:46


 時は慶長年間、南部氏第27代当主(陸奥盛岡藩)南部利直(なんぶ としなお)公が花江戸に向かう道中、巻城に立ち寄り食事をした際に、椀で供されたそばのおいしさに何杯もおかわりしたといわれています。これが岩手県で有名な「わんこそば」の由来となります。「わんこ」とは木地椀をさす方言であり、盛岡や花巻などの地域では客人をもてなす際、そばを振舞う風習があったそうです。給仕さんが次々と椀に入れるそばは、約10杯でざるそば1枚分であり、100杯で「横綱」と認定されます。薬味を味わいながら、マイペースで食べたり、何杯食べられるか競い合うといった様々な食べ方があります。お給仕さんが「ハイ、どっこい。じゃんじゃん」の掛け声とともにそばを次々と放り込み、食べ終わるとすぐにお椀に入れる作法は「おてばち」と呼ばれる客人に対するもてなしの礼儀からだといわれています。

 もう一つの名産品、南部鉄器は、17世紀中頃、南部藩主が京都から盛岡に釜師を招き、茶の湯釜をつくらせたのが始まりといわれます。伊達藩領であった旧水沢市に早くから根づいた日用品鋳物の影響もあったそうです。現在でも昔ながらの伝統的技術・技法を受け継いで、茶の湯釜や鉄びんなどを一つ一つ手作業で作られており、南部鉄器は昭和50年、国の伝統的工芸品として第一次で指定されています。

 また、旧南部藩では、野戦食として600年の昔から煎餅が焼かれ食べられていました。これが南部せんべいの由来です。身近にある素材でこしらえることができ、尚かつ日持ちするという便利性があったからだといわれています。南部の暮らしに煎餅は欠かせないものであり、法事や祝儀には付き物だったそうです。婚礼には、煎餅の上に赤飯を握って乗せ、近所の人に配り歩いたり、お産見舞には焼き麩と煎餅を一緒にして届ける風習もあり、南部の風土が生んだ伝統あるお菓子といえるでしょう。
 
(金さん)

参考文献

一般社団法人花巻観光協会「イーハトーブ花巻」
東北経済産業局「みちのくの匠」
公益財団法人岩手県観光協会「いわての旅」
株式会社小松製菓「南部の風土が生んだ伝統のお菓子」