コラム第19話 長円寺の梵鐘

  • 2013.06.20 Thursday
  • 11:06

 青森県五所川原市飯詰にある長円寺には、江戸時代中期の梵鐘が掲げられています。 青銅製で、上部には、東西南北に、笛、太鼓、笙(ショウ)、琵琶を奏する4人の天女が刻まれており、下部には牡丹唐獅子の浮き模様が施されています。この梵鐘は、県指定文化財に指定されており、沈鐘の伝説が残されています。

 弘前長勝寺第14世・聖眼雲祝和尚が長円寺を開山したあと、長勝寺と長円寺へおさめられるべく、2つの鐘が京都を旅立ちます。梵鐘は、正徳6年(1716年)に京都三条釜座の名工・近藤丹波藤吉が鋳造したものです。青銅造りで鐘の響きや彫刻などが優れていることから名鐘とされています。
 
 船に積まれた鐘は日本海を北上し、十三湊に入ったところで嵐に遭い、船は沈没してしまいます。長円寺の雄鐘は引き上げられますが、雌鐘は引き上げるすべがなく、海の底に沈んだままとなり、鐘は十三湖の主となります。
それ以来、長円寺へ運ばれた鐘を撞くと湖底の鐘が、かすかに響きを立てて答えるという「湖底の鐘」の伝説がうまれたのです。
 
 更に、寛永元年に、異国船に備えるための大砲鋳造(ちゅうぞう)、昭和18年の第二次世界大戦に行われた金属回収と2度に渡り徴用されましたが、村人の切願によって、供出を免れた鐘としても有名です。  
芳賀